やれやれ、今日はなんだかんだと沢山誕生日プレゼントをもらったけど、なんか疲れたなー。
バッグの中には重たい木彫りの熊、片手には巨大リラックマを持ちながら、靴を履き替えて校庭に出た。
「よぉ、お疲れさん」
ちょっとうつむきながら歩いていた私は、その声で顔を上げる。
そこで立って笑ってるのは、ジャッカル桑原だった。
「あ、ジャッカル……」
今日は天気のいい暖かい日で、なんかそんな日の太陽とジャッカルはすごくぴったりだな、なんてふと思った。
「コレ……」
ジャッカルは手元に持ってた紙袋に手を入れると、中から取り出したものを私に差し出した。
「誕生日おめでとう。いつも世話になってるな」
彼が差し出したのは、黄色いミモザの花のリースだった。
緑の葉に黄色い小さい花の組み合わせは、とても可愛らしくて、そしてその色合いは、太陽の下のジャッカルにぴったりで、私は思わずじっと眺めてしまう。
「……あ、こんなもんつまんねーかな。ウチの庭に咲いてたヤツで……母親に手伝ってもらって作ったんだけど……」
私はあわててそれを手にして、自分の頭にのっけた。
「つまんないワケないじゃん! すっごいかわいいからびっくりしてただけ! すっごい嬉しい!」
リースを頭にのっけた私がジャッカルを見上げてると、彼はぷっと吹き出す。
「お前、バカだなー。そりゃ、頭にのっけるモンじゃなくて、ドアとか壁とかにかけて飾るんだよ」
そう言いながらも、ジャッカルは笑って嬉しそうで。
「わかってるって! でもなんか嬉しいから家に帰るまでは頭にのっけてたっていいじゃん」
「でっけーリラックマ持って、花を頭にのっけて、どこのおめでたいヤツだよお前は」
またジャッカルは大笑い。
「確かに一人じゃ恥ずかしいから、ジャッカル一緒に帰ってよ」
ジャッカルは一瞬目を丸くしてから、くくくと苦笑い。
「心配しなくても、皆、待ってるってよ」
ジャッカルが指す北門の方を見ると、テニス部の皆がこっちを見て立っていた。
なんという誕生日!
Thank You Everybody and I Like You !