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モジモジサバイバル with 四天宝寺中


白石蔵ノ介


 金ちゃんに手を引かれて海岸に戻ると、皆が一斉に私たちの方を見た。
「あー、金太郎さんが見つけてきたみたいやわー!」
 小春が甲高い声で叫ぶ。
「皆で、探しとったんやで、心配したやん!」
 謙也が駆け寄ってきた。
「うん、ごめんごめん、ちょっと森の方を見てみようと思ったら迷っちゃって」
 私が言うと、皆は口々に『あかんやろー』とか『心配かけんなや』とか言ってバンバンどついてくる。うう、皆、心配してくれてたんやね、ありがと……でも……!
「こんなことになってもて、お前、怒ってフテくされてヤケになってもうたんか、と心配したで」
 白石は毒手じゃない方の手で、私の頭をぽんぽんと軽くたたく。
「とりあえず、皆で手分けして島を見てみたんや。やっぱり、人は住んでへんみたいやな」
 私の隣で、白石は静かな声で続けた。不思議、絶望的なことでも白石が言うと落ち着いて聞くことができる。私たち、身一つの中学生が9人で一体どうしたらいいのか、さっぱり途方に暮れてしまうのは確かなんだけど。
「心配しても疲れて消耗するだけや。皆一緒なんやし、大丈夫やで。きっと、オサムちゃんが探して助けに来てくれる」
 そうか、オサムちゃんや! よかった、朝、オサムちゃんが一緒じゃなくて! だって、オサムちゃんやったら、きっとうちらと一緒になって船に乗り込んで、一緒に遭難してまうに決まってるもん!
「でな、さっき金ちゃんがお前を探しに行った時にみつけた沢の水がきれいかったって言うてたから、飲み水は大丈夫や。そこの入り江みたいなとこに、魚もよぉけおったから、銀さんが波動球つこて捕まえてくる言うてたしな」
 白石が笑いながら振りかえると、そこでは小春とユウジが『二人の愛の巣やでぇ、らぁぶ!』なんて言いながら、蔦と枝を使って小屋を建て始めていた。
 えっ、ちょっと、皆、ここで暮らす気マンマンやん! 私、もう早よ救出されたくてしゃーないんやけど! 皆との温度差に、少々愕然として肩を落とす。
「……ん、どないしたん? もしかして、疲れて具合悪いんか?」
 白石が心配そうに言う。
「ん……そやな、ちょっと頭痛い、みたいな……」
 私がつぶやくと、白石は屈んで私の顔を見た。
「あかんやん。陽に当たりすぎたんやな、陰で休んどき」
 私の背中を押して、小春たちが建設途中の小屋の屋根の下に連れて行ってくれた。
「横になっとき」
 蔦のじゅうたんの上にジャージをひいて、私を促した。
「本格的に具合悪ぅなったら、薬草探してきたるからな。今はひとまず、これで我慢しぃ」
 仰向けになった私の額に、白石は包帯をした方の手を乗せた。指先が、少しひんやりする。
 ひんやりするのに、私の顔は熱くなってしまいそう。
「……うん、ありがと、なんかもう治った」
 もじもじしながら私が言うと白石は笑う。
「しばらく、大人しくしときや」
 甘い笑顔を残して、浜辺に戻っていく。
 白石の笑顔や手は、なんでも治してしまう気がする。
 でも、これ以上触れられてたら、熱が出そうやってん。

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