モジモジサバイバル with 四天宝寺中


一心同体少女隊


 全てを癒し、治してしまうような白石の毒手でも、どうにもならない状況に、私はあった。
 もじもじしてしまうような状況に。
 そう、私はオシッコがしたいのだ。
 金ちゃんに助けてもらった時も、なんとか人知れずオシッコをしなければと森に入り込んで沢で足をすべらせた結果。
「ちゃんと寝とらんとアカンで」
 私の周りでは、着々と小屋を建設しているユウジがギッとにらんでくる。ユウジは小春とお笑いをやってる時と、普段の無口さのギャップがあるけど、結構いい奴なのだ。
「ユウくん、そっち押さえといてやー」
「わかっとるで、小春!」
 二人はとにかく、めっさ仲がいい。一心同体少女隊や。
 何本かの柱とちょうどいいひさしができた頃、建設作業を休憩して二人は私の隣に座る。
 真っ青な空の下の、隠れ家みたいな日陰は快適だった。
 そして、普段にぎやかな二人とは、こうして一緒いると結構落ち着く。
 横になったせいもあってか、私の尿意も少々落ち着いた。
「……なあ、小春」
「なあに、ユウくん」
「……俺ら、ちゃんと帰れるんかな」
 ユウジのちょっと心配そうな声が意外。あんまり動じなさそうなのに。
 横になったまま見上げると、ユウジと目があった。
「ああ、ごめんな。皆のおるとこで、あんまり不安なこと言うとアカンやろからな。今やったら、お前と小春しかおらんから……」
 そっか、弱音を吐いたらアカン思てたんや、ユウジ。
 小春はふわっとユウジの肩を抱く。
「何言うてんねん、不安なことは不安言うてええねんで」
 小春はユウジにそう言ってから、私のことも見た。
「皆で一緒や言うても、女の子ひとりやったら心細いわよね」
 私は思わず起き上がった。
「そやねん……!」
 私とユウジの間にいる小春は私の肩もふわっと抱いてくれた。
「小春、もう俺、いろいろ心配やねん。このまま帰れんかったら、俺、夏休みの宿題ぜんぜんやってへんし、どないしようとかな……」
 そこかい!
「ユウくん大丈夫よ、宿題なんかアタシのを写させてあげる!」
 ユウジは小春の肩をガシッと抱き返す。
 うう、やっぱりこの二人、うらやましいくらい仲がいい……。一心同体少女隊や……。
「アンタも心配ごとがあったら、何でも言うねんで。ここにいる間だけは、一心同体少女隊に入れてあげる」
 小春が言うと、ユウジも続いた。
「特別に許したる」
 私は目頭が熱くなった。女子一人で心細いって思ったけど、この二人がいれば大丈夫! 
 少女隊やもん!

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